活動報告

教員いじめ問題にかかわる条例案に反対

 私は、社会的に注目されている「神戸市小学校の教員いじめ問題」に関連して、加害教員4人に給料を支払わないための職員分限条例の改正案に反対しました。 10月29日、条例改正は、69人中63人(1人は棄権、つなぐ会派は5人全員反対)の議員の賛成で成立しました。しかし、そのあとのメディアの反応を見ても、恒久的に条例を変えるのに拙速ではないか?という批判(神戸新聞社説)がありました。教育委員会の分限懲戒審議会でも、3人の弁護士が「4人ともが起訴のおそれがあるとは言えない」として、4人の分限休職は不相当との結論を出しました。今回の神戸市長のやり方には批判が出ています。しかし教育委員会は、本来は意見を尊重しなければならない分限懲戒審査会の反対を無視して休職処分を強行しました。

 今回の条例改正に反対した理由について私は、以下の3点を29日の本会議で述べました。                                第1に、任免権者(今回は教育長)の恣意的な運用を防ぐ措置が不十分で、公務員の身分保障に重大な懸念があります。議会の内外で市長は「この条例は、3つの条件(重大な非違行為・起訴のおそれ・職務を行うと重大な支障)がそろった時に初めて適用されるのであり、事実上今回の事例に限定される」と述べました。その答弁をもって賛成した会派もありましたが、処分を下す任免権者たる市長がそのような答弁をしたからと言って、処分が限定される保障は何もありません。

 条例成立後に開催された分限懲戒審査会は、「3つの条件に該当するか否かの判断は、懲戒処分においてなされるべき」「厳格な解釈・判断が求められる一方、確定的な判断をする懲戒処分の前に行わなければならないというジレンマを内包している」と指摘したのです。法律の専門家から見れば、矛盾だらけの条例改正です。

 第2に、恒久的な条例を変えるにはあまりにも拙速です。議会に条例案が示されたのは25日。土日を挟んで28日に上程されてすぐに臨時の委員会を開催し、29日の本会議で議決しました。法律の専門家に意見を求めたりする時間的余裕はなかったのです。

 第3に、そもそも今回の教員間いじめ問題を解決するには、もっと他に優先するべきことがあるからです。加害教員の処分については、第三者委員会の調査の後に厳正に行うべきです。しかし、本来教育委員会としては、教員の処分以外の点についてはもっと主体的に行動するべきではないでしょうか?いじめの構造についての関係者の聞き取りと分析を進め、神戸市の叡智を集めて当該の学校の再建と被害教員とこどもたちのケアの体制を作り、再発防止策を講じなければなりません。そういう動きがいまだに見えないことが、私には信じられないのです。

 そもそも私は、こどもにせよおとなにせよ、いじめ問題を解決するためにいじめの方法を使うのはおかしい、という思いがあります。

 こどものいじめにおいて、「今の学校にはスクールカーストがある」と言われます。いじめる子、いじめられる子、そして傍観する子。一度いじめられるとなかなかその状況からはい上がれない厳しい人間関係が出来上がってしまっている。そんな状況を変えるのは並大抵ではありません。

 いじめ問題はだれもが当事者であり、自分が絶えず他人をいじめていないか?傍観者になっていないか?を戒めていく必要があると思うのです。自分は正義の味方だと思っていたら、いつの間にか誰かをいじめていた。そんな経験がないでしょうか?

 神戸市政に責任を持つ市長や私たち議員はとくにそうだと思います。

 自戒の念を込めて。